ありきたりではない、ご婚約指輪を求めて・・・

ある日の夕方、当店前を左手から右手に向かい店内を覗きながら通過する男性が視界のなかに入りました。

数分後、今度は右手側から左手にやはりこちらを向いた感じで複数の通行人のなかに混じり通り過ぎていく姿に気がつきました。

「⁇」同じ男性のような…気がする。

ちょっと警戒モードで店前に更に注意を払っていたところ、なんと今度は店側面の奥手から右折して店正面に回り込んで店内を覗きながら出現しました。

今回皆さまにご紹介するお客様との出会いが、ここから始まりました。

《彼女に贈るご婚約指輪を探し求めて》

東京都稲城市生まれの27歳、大の旅行好きでプラモデル作りが趣味の機械関係のお仕事をされている彼（以下Ａさん）が、初めて横浜YAMATOへ訪ねて来られました。

3度目の当店通過でこちらも入り口に出向きお声掛けをし店内にご案内、ご用件をお伺いするとご婚約指輪について相談したいとのことで、詳しくお話しを伺うことになりました。

その時の心境をＡさんからコメントいただきました。

「婚約指輪を何処で買うかをとても悩んでおり、一時期は毎日のように調べていました。彼女からはブランド物の指輪や一般的なダイヤモンド指輪では無いほうがいいと言っていたので、それもあってお店選びに苦戦していました。」

「元々彼女がアレキサンドライトのネックレスをしており、誕生石でもあるアレキサンドライトをとても気に入っていたので婚約指輪もアレキサンドライトにしようと考え、それを軸にお店探しをしているなか横浜YAMATOさんに辿り着きました。当時はサプライズをして彼女を喜ばせたいと思い訪問しました。」

このような思いでご遠方から当店を訪ねられ、他の男性同様に独りで宝石店に入店することをすこし躊躇して、何度か店内の様子を観察されていたようです。

まずはアレキサンドライトについて詳しくご説明をし、ご希望のご予算やデザインなど他の条件と共にお贈りするお相手の女性の方（以下Ｂさん）についても、静岡県沼津市の方でお仕事は医療従事者であることなどのおおまかな情報をお聞かせいただきました。

そして当方がまとめた最初のご提案は…『サプライズで贈ることは諦めませんか！』というアドバイスで、こちらの最適と考える意見を率直にお伝えいたしました。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、アレキサンドライトは良質なレベルのものは高価になりやすく、またその価格に比例すると割合いに地味なお色味になりがちで、特に若い女性の薬指を飾るに相応しく、尚且つご婚約指輪という性質上お相手の奥様になられるＢさんに長年気に入ってお着けいただくには、よりリングデザインを詰める必要があり、おふたりで宝石選びからデザインまでを相談しながら選択するという過程も、サプライズで喜ばれることに勝るとも劣らない大切な思い出要素になり得るのでは…とご提案させていただきました。

結局このアドバイスに彼自身もご納得いただき、後日おふたりで改めてのご来店となりました。

おふたりご一緒に来られた2回目の打ち合わせでは、彼がお考えのご予算をベースに次にくるべくご結婚指輪のご予算をも考慮しつつ、ご婚約指輪製作へ適した予算配分のなかで、アレキサンドライトを含むいくつかのカラーストーンをご覧に入れ、彼女がご希望されている〈ありきたりの婚約指輪ではない〉方向性でご検討を重ねていただきました。

そんななか彼女が一番気に入られたのが、ミャンマー（旧ビルマ）モゴック産出のオーバルカット非加熱ブルーサファイアでした。

宝石自体としての耐久性も日常頻繁にお着けいただけるに申し分なく、この魅力的なブルーサファイアをメインにした指輪のデザインを続けて検討を重ねていきました。

ゴテゴテとしたデザインよりはカジュアルシーンでも着けやすいシンプル系デザインがいいですね…というお話しから、私がだいぶ前から美しさに惚れて複数ストックしていたイエローダイヤモンドを1ピース、そっと菲加熱ブルーサファイアの隣に添えてご提示して見ました。