皆さんがジュエリーを購入しようかな…と思うタイミングはどんなときでしょうか?
長い年月ジュエリー業界に籍を置くわたしどもは、日々ジュエリーと接する毎日ですので『ジュエリーっていいなぁー」と感じることが多々あります。
真面目に堅苦しく『ジュエリーって何?どんな意味合いがあるの?』と問われれば、もちろんいくつかのお答えをすることができるのですが、今回は想いや愛情がこもるジュエリーがまさにタイムカプセルのように数十年の眠りから覚め、現在に優しく響く事例をご紹介させていただきます。
ある日ひとりの女性が初めて横浜YAMATOへ来店され、ご相談があると鞄から小さな化粧箱を取り出されました。
早速にその小箱から出てきたジュエリーケースを開けられると、赤黒く変色した指輪が出現しました。
詳しくお話しを伺うとお客様の7歳のお祝いにお父様が贈ってくれた指輪とのことで、以来数十年間もの年月しまったままとなっており、今回久しぶりに開けて見たらこのような状態になっており当店へお越しになられたとのことでした。
いままで着用はしたことはないが、母が何度か触っていた記憶があるとご説明をいただきましたが、私の視線を釘づけにしたのは指輪よりもケース内蓋の部分でした。
そこにはわたしが修行先での新入り見習い時代に、先輩営業マンに指示され頻繁にお届けものなどで通っていた都内有数の名店ジュエラーのロゴマークが存在しておりました。
私の長いジュエラー人生でも、なかなか7歳の娘さんにこのような本格的な指輪を贈られるというケースは稀で、尚且つお父様が購入されたお店は規模は小さくとも当時のジュエリー業界人なら誰もが名店と知るショップであり、初めてお会いするお客様ではありましたが、お父様がどれほどお嬢さん(お客様ご本人様)に深い愛情と想いをもっていたか…と推察しますとお伝えさせていただきました。
今回の当店の役目はこの変色してしまった指輪を元通りに戻すことでしたので、お預かり後すぐに新品同様に仕上げをし出来上がりのご連絡をさせていただきました。
数十年の月日が経ち、お父様の愛情と想いが伝わるK18ダイヤモンド指輪が、タイムカプセルを開けたかのように2023年お客様の指に初めて着けられました。
毎日毎日と時を重ねながら過ごしているなかで、さまざまな思いや出来事が時間の経過と共に懐かしさや嬉しさ、はたまた悲しさや悔しさも含めた思い出として深く心に刻まれて、ジュエリーもそれら人生の1ページを開く扉の鍵となる貴重な存在と確信しております。
お客様が喜んでお帰りのあと、私自身も今から約40年前に緊張しながら日々通った先ほどの名店や、その行き帰りに立ち寄って昼食をとったお気に入りのお店なども懐かしく久しぶりに思い出しました。
ジュエリーは何十年もの時間が経過しても、ほとんどの品が新品同様に生まれ変わります。
皆さまの人生においての大切な想いやメッセージを伝えるアイテムとして、またご家族や友人との気持ちや思い出のタイムカプセルとして、是非機会があるときにジュエリーの存在価値や重要性を広く知っていただけることを横浜YAMATOは日々願っております。