港街ヨコハマ… というわけでもないでしょうが、このところ海外で購入されたジュエリーの持ち込み相談が目に見えて増えて参りました
今回ご紹介するのは、当店顧客のお客様がジュエリーのリフォームや修理の相談を希望するご友人をお連れになられて来店されたケースです
初来店のご友人様は帰国子女でいらっしゃるミセスの方で、海外での生活が長かったのでご両親様に買っていただいたジュエリーもほとんどが外国製ジュエリーとのことでした
まずは一点づつお持ちになられたジュエリーを拝見させていただいて、これらのジュエリーをどうこれから活かすかという方策を僭越ながら私の考えなら…という視点でお伝えをさせていただきました
もちろん日本国内でご自身が購入されたジュエリーも混じっておりましたので、どの品とどの品を一緒にまとめ改作すべきかという価値観の共有であったり、ジュエリー自体の素材感やデザイン性、またクォリティの差での区分けがまずは最初のポイントになると考え詳しくご説明をさせていただきました
こちらの金の指輪、いつからか割れてしまったので使うことなく長い期間そのまま眠っているとのことで、お客様曰く修理してくっつけてもらったとしてもサイズは間違いなく現在の指サイズとは合わなくなっているはずとのことでした
一般的にはこのようなケースでの対応策として、このところ良く見聞きするのは不要なジュエリーを買い取ります!という換金処分を促す提案の新聞折込チラシやテレビ番組などでしょうか…
わたくしも換金処分を一概に否定するわけではないのですが、一応ジュエラーと呼ばれる職にある者としましては、最終的にお客様が処分を決断される前に、まずはそれらのジュエリーを活かせる方策をご検討なさってから決定していただきたく、安易に処分を即断即決されないようにご案内する立場を守っております
もちろん換金処分をされたほうがお客様にとって多くの利益を得そうな場合もありますが、なかなかそのようなケースは現実にはごく稀な為、お客様と長く共に時間を経てきたジュエリー達が泣かされないように守る役目が私にはあると密かに思って日々ご相談に向き合っております
今回はこの他にもリフォームするにはある程度費用をかけなければならないであろうと推測する品物もあったので、この金の指輪はいかに費用予算を押さえて活かすことが出来るかをお客様とお話しながらもアタマの中では考えていました
海外でずっと生活をされていたと最初にお聞きしたからかもしれませんが、直ぐにこの指輪を活かした新たなジュエリーを素敵に着けこなすお客様の姿が脳裏に浮かんでまいりました
アタマに浮かんだご提案とは…
割れて離れてしまっていた箇所の両端を綺麗に整えてから、お客様の現在の小指サイズになるよう新たな金地金を足した上で小さなダイヤモンドを3ピース並べてセッティングし、縦ラインのダイヤモンド修復部分が逆にワンポイントとなる “オトナのピンキーリング” に補強修理も兼ねたリフォーム案をご提案いたしました
この外国製の金指輪内側には、かろうじて 916 と見える刻印だけが読み取れるため、24金 × 0.916 であろう推測説明をさせていただき、加工中ならびに着用の際の留意点などの説明をご理解いただいた上で、ピンキーリングとして新たに生まれ変わらせることとなりました
そしてこの指輪以外のお持ち込みジュエリーの活用策は、こちらのピンキーリング出来上がり受け取りの際に改めてご提案とさせていただきました《 こちらの顛末は別の機会に改めてご紹介予定 》
ずっと長いあいだ眠っていた昔の金指輪が数十年ぶりに甦り、いまはお母様となられたお客様の小指で新たにまた輝きはじめました
いつの日かお子様に、この指輪の由来と共にお客様が海外でお暮らしになられてきた家族のストーリーを、是非一緒に語り伝えていただく為のお手伝いを今回させていただきました
お客様に対して、この一歩間違えれば余計なお節介にも見えるご提案が、処分をされてしまう前にいま一度検討の機会を提供することが、私ども長年ジュエリー専門に取り扱う店 横浜YAMATO としての真意です