■ 合格なるか?品質を確かめる試験の数々
試行錯誤を繰り返すうちにわかってきたのが、高温処理と低温処理を繰り返す「温度」が重要なポイントだということ。ある温度からの低温処理で、微細粒子がでてきて結晶格子を歪ませて硬くなる「析出硬化」を適切なタイミングで実現する法則をついに発見したのだ。
硬度のコントロールはOK。次は脆さも含めた強度の確認だ。以前にも書いたが、「硬いと脆い」が一般的。結婚指輪にふさわしい品質かどうかを、さまざまな試験によって確かめなくてはならない。
最初は変形に対する強度をみる試験。これがなんと、指輪にフックをかけて人がぶら下がるというもの。結果、日常生活では問題ない強度があることがわかり、見事に合格。
次は、落下試験。指輪を持って3mの高さまで階段を登り、コンクリートの上に落とす。これを100回繰り返すのだが、階段を上り下りするのは人間である。見た目には地味でも、なかなかつらい仕事だ。担当者は両脚が筋肉痛になったが、指輪は割れなかった。落下試験も合格だ。
変形や割れは問題なし。だが宝飾品は輝きも重要。そこで最後は、摩擦によるキズのつきにくさをみる試験である。真鍮製のワイヤーブラシで表面を何度も擦り、状態を確認する。こちらも合格!いよいよ、指輪作りの最終工程、仕上げ加工の出番だ。
1918年から100年もの間、実用器具であるペン造りを極め続けるPILOT。そのスピリットは50年の歴史を誇る宝飾品造りにも伝承され、日常のあらゆる場面を想定し、より丈夫で装着感に優れる指輪を常に追求しています。店頭にても指輪耐久ペンチテストを実際にお試しいただけます。
ヨシムラマリ
神奈川県横浜市出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手がける。
著書『文房の解剖図鑑』(エクスナレッジ)
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『丈夫な結婚指輪』を目指して
結婚指輪をお買い求めになろうと、数々のジュエリー ショップやブランドを下見されていらっしゃるご来店の皆さまに、「おふたりが結婚指輪に求めるこだわりポイントはなんですか?」とお尋ねすると、いろいろなご返答をいただきます。
そんな皆さまからの結婚指輪へのこだわりポイントの主だった共通項は、至極当然ではありますが、《着け心地》《デザイン》《価格》《アフターケア対応》《丈夫さ》などでしょうか・・・
実用器具である筆記具の国内トップブランドのPILOTパイロットは、約50年前から鍛造(たんぞう)製造指輪の純国産ブランドメーカーとして、貴金属素材を叩いたり、延ばしたり、圧力を加えて密度を高めて硬くする、文字通り貴金属を鍛えて造る指輪製法により、硬さ(強さ)は一生ものの結婚指輪には必須な品質と考えて、自社工場内の機械設備を駆使して、専門作業者が一本一本丹精込めて結婚指輪を生み出しております。
また貴金属素材もアレルギー反応が起こりにくい、純プラチナや純金素材をパイロット独自の素材開発にて強度を高める技術力を駆使し、強くて優しい結婚指輪作りにこだわっています。
この日常生活で変形しにくい強度(硬度)を追求していくうちにたどり着いた純プラチナと純金を析出硬化により、一般的な割り金素材などが入らない混じり気無しの貴金属100%の結婚指輪は、3年間の月日をかけてPILOTブランドが試行錯誤の末に完成させた結婚指輪です。(製造特許取得済)
〈強さと脆さ…〉
しかしながら難しさは、指輪が硬ければ硬いほど良いわけではないところです。
じっくりと押し潰すチカラには耐えられても、スピードある衝撃(インパクト)には耐えうるのかなど、日常使いでの不規則性な衝撃にも耐えうるかをテストするため、高所から実際に指輪をコンクリート床へ落とす落下テストまでを試験してます。
そのような脆性と靭性のバランスを考慮し、出来上がった指輪はパイロット自社工場内にて、様々な耐久テストを経てから販売が許されます。
ダイヤモンドが先端につく押し込み硬さテストでは、一定のチカラでの圧痕のサイズを計測しHardnessVickers(硬さ記号ビッカース硬度)にて、引っ掻きキズ硬度を計測します。
この引っ掻きキズに対する硬さ、すなわち耐摩耗性を確認するため、真鍮ブラシによるキズつきテストを行っています。
パイロットが目指しているのは、日常生活において長い年月着用し続けていても、壊れにくく・摩耗しづらく・疲労破壊されにくい結婚指輪です。
また、ほとんどの皆様がP t プラチナ結婚指輪が日常どの程度で曲がったり変形するのかはなかなか想像がつかないと推察します。
そのためP t プラチナ結婚指輪の歪みに対する耐性を体感していただく、店頭でのペンチテストもお試しいただけます。
横浜YAMATOでは、日頃から自店販売品ではないお持ち込みの結婚指輪修理修復も可能な限り対応しております。
指輪の歪みや変形・石外れや石取れ紛失など、もちろんサイズ変更や指から抜けずに切断された結婚指輪修復まで…
また皆様があまりご存知無い、または気がつかれないケースでは、毎日のように着用されているメレダイヤモンドの複数石セッティングされたP t プラチナ結婚指輪では、爪の頭が摩耗して段々とダイヤモンドを留めているチカラが弱まり、石緩みや石取れを招くことがあります、そのために耐摩耗性やセッティングの方法に工夫が必要となってまいります
ありとあらゆる結婚指輪修理・修復のご相談に応じておりますので、長い年月毎日ご使用になられる結婚指輪をこれからご購入を考える皆様には、是非とも耐久性もご検討になられることをお勧めしております。
パイロットブライダルの中でも人気のミルグレイン・デザイン『ハピネス Happiness』、両サイドのミルグレインも耐摩耗性に優れたウルトラハードプラチナ(UHP 999)だからこそ、長く安心してご愛用いただけます・・・