作ってみたら硬かった!から始まる、「逆」の苦労
『貴金属材料の良し悪しは、溶解時に決まる為、新素材を求める開発技術陣は、何度も溶解試験を繰り返しながら、同時に純金約1070度、純プラチナ約1770度と溶ける温度が違うことから起きる偏析(均等に混ざり合わないこと)にも細心の注意を払って、苦難の連続の日々を積み重ねました』
神奈川県横浜市出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手がける。
著書『文房の解剖図鑑』(エクスナレッジ)
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純プラチナも純金も、それぞれは柔らかく、摩耗や変形に弱い素材でありますが、この2つを混ぜ合わせることで、より硬く強固になることから、新郎新婦が共にチカラを合わせることで、強い絆で結ばれ、これからの人生を実り多く、幸せに歩んで欲しいとの思いから、1対1配合にこだわって生まれた、唯一無二のパイロットオリジナルのハイブリッド・マテリアルですが、その開発は想像以上の難題続きだったそうです
まずは、いきなりの課題として圧延が出来ず、割れてしまうという最悪のスタート
通常は加工が難しいと言っても、多少は加工ができるものだそうですが、この素材は強敵でまったく歯が立たない素材だったそうです
その要因が『硬さ』
開発素材は溶解上がりの時点で、とてつもなく硬く、粘りが無いという製品加工には不向きな素材だった為、まずは硬度を下げる方法を考えるという、なんとも不思議なスタートとなりました
しかし硬度を下げると言っても、これがまた難題で、通常は「焼きなまし」と呼ばれる、ある温度から冷却すれば軟らかくなる作業過程でも、開発中の新素材には通用しなかったそうです
その後も開発技術陣は様々な試行錯誤を重ね、やっとなんとか柔らかくする条件を見つけ出し、圧延までは成功するものの、品質的にも、生産効率的にも、市場に送り出す道のりは遥か遠く、当時開発に携わったスタッフの方によれば、いまでも当時を振り返って、よく製品化までにたどり着いたなぁ…と感慨深いそうです
硬さとは、重さや長さのように一律には表すことが難しく、また硬いと脆いはある意味では表裏一体、靭性(粘り強さ)も脆性には影響し、「壊れにくく」「摩耗しづらく」「疲労破壊しづらい」結婚指輪素材を追求したパイロット開発製造チームは、じっくり押し潰すチカラに耐えても、スピードがある衝撃(インパクト)にも耐えうるかを確認する為、日常生活で起こるであろう指輪への不規則な衝撃をテストするため、約3メートル強の高さから、ランダムに指輪をコンクリート床に落下させる試験を100回以上行ない、階段を登り下りするのも大変だった…と、当時のエピソードを笑いながら懐かしんでいらっしゃいました
Ptau ピトー 結婚指輪の内側には、「Pt・G 1000」という打刻がされていますが、この打刻はプラチナと純金だけで100%ということを意味する商標登録の証です
純プラチナと純金の配合比率を変えることで、より容易になることがわかりながら、敢えて1対1配合にこだわり抜き、試練の道を選択されたパイロット開発製造チームに感服です
パイロットブランド最強の結婚指輪『ピトー Ptau』下見は横浜駅東口から徒歩3分、横浜YAMATOへ