《さらなる新素材への挑戦「Ptau 」》
ヨシムラマリ
神奈川県横浜市出身。
子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手がける。
著書『文房の解剖図鑑』(エクスナレッジ)
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常日ごろから、『硬さ』にこだわった素材開発を主に行っていたパイロット開発技術陣、そのあくなき探究心から始まった貴金属の新素材開発は、いよいよ純金と純プラチナの貴金属100%素材のみで合金化するという、前人未到の開発に着手しました
純金はビッカース硬さ約30H v(ハードビッカース)、純プラチナはビッカース硬さ約40H vという、単体では柔らかな素材ですが、この2つの貴金属素材を合金化することで、強さや硬さが上がることは、金属の世界に携わる方々にはわりと知られていたようですが、なんせ素材のなかでも、特に高価な貴金属素材ですので、わざわざこの高価な素材2つを使用して合金化するという考えが、そもそも通常のモノづくりの世界では無く、未だ市場には存在していなかったこともあり、開発当時のプロジェクトリーダーの一声からスタートしたそうです
そして、この純金と純プラチナを均一に混ぜ込むことが果たして可能なのか…
素材として均一に混ぜることが出来たとしても、その素材で製品化ができ、問題なく販売する品となるのか…
未だかつて、市場には存在していない素材だからこそ、まったくの手探り状態での開発となり、その上さらには、新郎新婦が二人で協調協力しながら、新たな人生を歩まれることをイメージした、1対1比率の配合にこだわったことが、その後数年間の苦労の連続となるドラマを招くことになりました
(開発担当者の方曰く、純金と純プラチナの配合比率を変えれば、より容易な作業になるのはわかっていたが、あえて困難な1対1という比率で開発を目指したそうです)
純金と純プラチナを溶かして塊を作り、鍛造指輪製造のために、圧延をしてみたら、なんと真っ二つに割れてしまい、ブライダル用素材を開発するのに、いきなり縁起でもない事象が起き、その加工の難しさを開発技術陣は直ぐに実感させられたそうです
この二つの純貴金属だけを混ぜ合わせた新素材は、溶解上がりの時点では硬くて粘りが無いという、製品加工にはまったく適さない素材であり、素材開発はまずは硬度をいかに下げるかという、なんとも矛盾した作業から始まりました
通常金属加工では、ある温度から水につけて柔らかくする「焼きなまし」という工程が知られていますが、この新素材はまったく柔らかくならず、硬度を下げるという事に苦労するとは思いもよらぬ事態でした
当時はまだPtau(ピトー )という名称も存在しない、新たな新素材の開発ですが、その後もまだまだクリアしていかなければならない課題山積のなか、この硬度を下げることに成功した第一歩が、まさしくPILOTにとっても、偉大な一歩となりました
この後も、次々とパイロット技術陣に起きる開発試練のドラマ、次号『パイロット指輪物語 第7話』
乞うご期待ください!
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