ある日、当店におひとりの若い女性の方がご入店されました
「ジュエリーのリフォームをご相談したいのですが…」とのお申し出で、まずは着席をお勧めして、早速にお持ちのふたつの指輪をお出しいただきました…
指輪のリフォームをされるには、ある程度の費用が発生することになりますが…と、お嬢さんがどのぐらいのお考えをされていらっしゃるのかがちょっぴり心配になってしまった私がまずお伝えをすると、しっかりと「もちろん承知しています」と力強くお返事がかえって参りました
そこで詳しいお話しを聞かせていただいたところ…
このふたつの指輪は、お母様の指輪であること
それもお母様が数十年前に、当時ご親戚がお仕事で赴任されているビルマ(現ミャンマー)を訪ねた際に、現地のお土産としてもらった指輪であること
いまご入店されたお嬢さん本人が今年成人となるので、二十歳の記念としてジュエリー製作を考えていること
そんなさまざまなお話しをさせていただき、まずはふたつの指輪に留まっている石を、宝石鑑別機関に依頼して検査をすることから始めましょうとご提案お勧めしました
数日後、共に天然サファイアであるという鑑別結果が確定し、指輪台座はsilver素材であることもご報告し、第2段階として使用を希望されるピンクサファイア指輪のみ、すべての石を指輪枠から外して、リメイクに使用するにあたり、わかりやすく4段階に選別をすることになりました

色目やテリ、透明度、そしてなによりも欠けや亀裂などの今後の耐久性を考慮して、今回は最良の1〜2石を使う指輪製作をお勧めしました
二十歳のお誕生日まではまだまだ日数に余裕があることもあり、お嬢さんとLINE@にて横浜YAMATOともだち登録をしていただき、4つの基本的な指輪デザインを参照画像を添付しながら、やりとりを始めました
途中どれも良い部分があり、迷ってます…という返信があり、更にしばらくすると、
『 ご連絡が遅くなり申し訳ありません。
ご提示頂いた中でBかCがいいなと思うのですが、長く使うことを考えるとBの方がいいかなと思いつつも、Cも独特で素敵だなと感じます。
が、やはりBが正統派でどんなシーンにも合う気がするので、Bが優勢といった具合です。
ゆらゆらしたお答えになってしまいすみませんが、どれも素敵でこのくらいが答えの限界です…! 』
とのメッセージがあり、最終的にはこちらがよりベターと感じるプラチナ素材で、可憐な二十歳の記念の愛くるしさと、少なくともミセスになっても着用可能なボリューム感を併せ持つデザインにまとめさせていただきました
また、あくまでもビルマから日本へお母さまが持ち帰られたピンクサファイアが主役なので、主役を邪魔しない存在感で、尚且つある程度のボリュームを出せるサイズ感を考えて、当店の在庫裸石からハートシェイプカットのブルーサファイアを選び、ピンクサファイアと抱き合わせにするデザインにいたしました
指輪のアーム内側には、彼女の二十歳となる今年の誕生日の年月日と、今回指輪をお祝いとして贈られるお母さまのお名前、そして「to」の文字でお嬢さん自身のお名前を並べて記念文字の彫り加工をいたしました
指輪が完成したご連絡の後、初めてお母様とお二人でご来店、ご挨拶もそこそこに出来上がった指輪をご確認いただき、早速にお嬢さんの指を飾っていただきました
若かりし頃、お母様がビルマで縁あり持ち帰られたサファイア指輪が、数十年の年月が経過したいま、当時のお母様と同じ年齢に向かうお嬢さまの成人の記念の指輪と生まれ変わりました
お嬢さんのこれからの御守りジュエリーとして、活躍ご愛用いただけることを横浜YAMATOも陰ながら祈念しています