宝石とジュエリー、恐らくこの2つの言葉を明確に区別して使われている方は少ないのでは…と思います。
わたくしも以前はよく「宝石屋さんの…」と紹介されることが多かったような気がしますが、このところはジュエリー屋さんという表現も同じぐらいに使われることが増えてきました。
厳密には宝石とは鉱物を中心としたダイヤモンドやエメラルド、真珠、トパーズ、ターコイズなどのジェムストーンなどの素材を差す言葉と考えます。
他方ジュエリーとは日本語に訳せば宝飾品となり、宝石や貴金属を使った装身具を中心とした製品を指し示すと捉えております。
もちろんルビーの裸石を販売することも、海外で購入された宝石の指輪の台(枠)だけをお任せいただくことも、お持ちのプラチナネックレスを長く足すことも承っておりますので、基本的には宝石店でもジュエリーショップでも間違いではありません…。
わたくしも業界に仲間入りしてから早くも四半世紀が経ちましたので、結構な人数の業界人の方々と知り合い、また6年間の日本ジュエリー協会活動へのご奉公により、一気に業界のあらゆる分野で最高峰に位置する方々とご縁をふれあうことができました。
インドやタイ国バンコク、コロンビアなどへと人生や家庭をもかけて宝石輸入ビジネスを営む方や、より良い真珠を作り出すために1日の休みもなく海にでる真珠養殖生産の漁師さんまで、たくさんの方がジュエリービジネスを支えつつ、またそれによってご自身たちも生計をたてておられます。
なかでも表舞台にあまり立たず地味ながらも、日本のジュエリー文化を支える錺(かざり)職の方々が大勢おられ、その頂点に近いところで貴金属装身具製作技能士一級という資格を取得したジュエリー製作の一線級の方々がおられます。
その一級技能士の方の中のお一人と、なにか皆さんが興味をもって楽しんでいただけるような品物を協力して生み出しましょう…と今年の夏前から密かに新たなプロジェクトを始動しておりました。
お互いに何かよいテーマやアイデアがないかとそれぞれが考え悩み、一番貴金属で表現することが難しいものを敢えて選びましょうと、技術の差が一番出易い作品作りにチャレンジすることを選択しました。
今週細かい修正までも全て終了し、やっと完成いたしました・・・・
どうです、この躍動感!!!!。
貴金属なのに、まるで息をしているかのような柔らかさを感じる馬体、手綱を合図した瞬間に走り出しそうな筋肉の盛り上がり、わたくしも予想を上回る生命体の出来上がりに品物が到着してすぐに「思わず素晴らしい!」と興奮して職人さんに電話をしてしまいました。
わたくしからのわがままなテーマは、立ち止まる姿でいながら躍動感を醸し出して下さいとの難しい指示だったので、彼は馬の骨格や筋肉図本を購入しての本格的な部分からのチャレンジだったそうです。
よく疾走している馬体や、後ろ足だけで立ち上がったりしている姿で躍動感を表現している馬のジュエリーは世の中にたくさん存在するので、敢えて一番難しい静止した馬体を選びました。
今後は鹿毛も黒毛も白馬もあらゆる艶消し仕上げ加工の技で表現し、置物からペンダント、携帯ストラップなど様々な品物を製作して参ります。
この錺職人さんも含め、40数年もの間ヤマトの歴史を共に支えていただいている沢山のパートナーと、これからも皆さんを楽しませ、唸らせる品物作りに邁進して参ります。
尚、ここにご紹介の馬ジュエリーは11月より店内にて展示陳列を始めご注文を承り、今年のクリスマスからご希望の皆様へ順次お納めをさせていただく予定でおります。
《 予定販売価格 ¥10,500~21,000 》
▲サティーナ仕上げ・鏡面・古美仕上げなど、様々な貴金属の仕上げ技法をもちいて芦毛や
黒毛、鹿毛のイメージを生み出します。