このところ消費不況の記事が新聞等を賑わせておりまして、勿論わたくしどもジュエリー業界もご多分に漏れず、向かい風を強く感じるこの頃なんですが、実は当店にとってはそうそう悪いことばかりでもないようなのです。
それは何故かと申しますと、お客様がこのような時だからこそ、予算と品物のバランスを吟味され、今まで以上にお買い物する際のジュエリーの中身を真剣に検討され始めたからです。
各種の報道からも、特に今年に入ってからは、全ての業種でイメージが先行しての消費や、何かしらの勢いにまかせての衝動買いなどが、特に敬遠されるような感じが全国的にも顕著のように感じます。
そのような傾向だからなのか、営業方針として専門性がなによりも優先する、ジュエリーのプロフェッショナル(余談ですがNHKで放映してます『プロフェッショナル仕事の流儀』が大好きで、登場する他業種のプロと呼ばれる方々と、常に自身の仕事を比較しながら、自分にハッパかけつつ楽しく拝見しております…)を自負します当店などは、新しいお客様の来店が目に見えて増え、ご相談をはじめとするセカンドオピニオンというのか、具体的なジュエリー選びの際のポイントを確認しにお越しになれる方達が多くなった気がいたします。
他方もうひとつの喜ばしい傾向として、新しいメーカーさんや職人さん・輸入業者、さらにはイタリアや香港の会社が直接自慢の品物を持参して新たな取引を願って提案をしに来店されます。
これもいままでしたら、一番川下にあたるわたくしどものようなショッブには、近隣の大型店やSCなどの系列関係で直接取引に来ることが出来なかった方や、逆に知る人ぞ知るの本当に真剣にジュエリーと向き合い、高い志を持ったアトリエや職人さん方が直接わたくしどもと組みたいと来られる環境になってきた、当店としては大変歓迎すべき変化です。
いままでも輸入卸し企業に長年勤務しておりました関係で、俗に言う昔とった杵柄の経験で、相当専門性の高いジュエリー製作・販売を行ってきた自信がありましたが、この時代の流れが更なる追い風となり、いままで以上のレベルアップを目指して、『仕事の流儀』のプロフェッショナル達に恥ずかしくない仕事を目指したいと願っております。
写真の指輪は、2月に初めて来られたコランダム(宝石種の名で、変種名が赤い色はルビー、其れ以外の色がサファイアと呼ぶ)専門の現地買い付けの輸入業者さんが持ち込んだきた石の中の一つで、数十個ある各色のコランダムの中でも圧倒的に魅力的に輝いており、どうしても見逃すことが出来ず手を出しました。
その後あれやこれや散々考慮して普段使いのリングとにして製作、先週やっと出来上がり、今週YAMATOの店頭にデビューしました。